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2025/2026シーズン定期公演

第80回定期公演  創立20周年シリーズ② 愛と海の詩
2025年6月20日(金)19時00分開演 18時30分開場  会場: 三鷹市芸術文化センター 風のホール (東京都三鷹市)
出演者

指揮:中原朋哉
プロフィール

メゾ・ソプラノ:鳥木弥生
【オフィシャルサイト】
 
曲目

オネゲル:夏の牧歌

ショーソン:愛と海の詩(Ms鳥木弥生)

ラドミロー:交響詩「ラ・ブリエール」

プーランク:シンフォニエッタ

 
チケット 全指定席 2025年2月20日販売開始
S席(2階席正面) 8,000円  A席(1階席) 5,000円  B席(2階バルコニー席) 3,000円
三鷹市民割引 S席7,000円  A席4,000円  B席2,000円
学生A席・B席1,000円
座席図 【座席図はこちら】
主催 シンフォニエッタ 静岡  合同会社シンフォニエッタ
後援 静岡県 


第81回定期公演  創立20周年シリーズ③ オール・クセナキス・プログラム
2025年1月24日(金)19時00分開演 18時30分開場  会場: 三鷹市芸術文化センター 風のホール (東京都三鷹市)
出演者

指揮:中原朋哉
プロフィール

メゾ・ソプラノ:鳥木弥生
【オフィシャルサイト】
 
曲目 クセナキス:Atrées アトレ
クセナキス:N'Shima ネシマ(メゾ・ソプラノ:鳥木弥生ほか)
クセナキス:Epei エペイ
クセナキス:Waarg ワーグ
主催 シンフォニエッタ 静岡  合同会社シンフォニエッタ


第81回定期公演 
2026年1月~2月 日程・会場調整中
出演者

指揮:中原朋哉
プロフィール
 
曲目

リヴィエ:交響曲第3
シュミット:ジャニアナ(交響曲第1番)
ルーセル:シンフォニエッタ
オネゲル:交響曲第2

主催 シンフォニエッタ 静岡  合同会社シンフォニエッタ


創立20周年エッセイ
「シンフォニエッタ静岡との20年、その魅力と特色」

 シンフォニエッタ静岡の皆さん、創立20周年おめでとうございます。東京在住ながら2006年の第1シーズン以来現在まで定期会員を続けている者として、まことに感慨深い。皆勤という訳にはいかなかったが、静岡で定期公演をやっていた頃の、年に何度かの静岡への往復は今でもよい思い出となっている。私はたまたま都内でも南部の、神奈川に近いエリアに住んでいたため、新幹線は使わずとも、川崎へ出て10:50発の(今は無くなってしまった)「快速アクティー」に乗れば、各駅停車を乗り継いで開場時刻頃に到着することが可能だった。小田原から先の海が見える車窓の景色や、沼津で乗り換える3両編成の東海道線のローカル線風情がたいへん懐かしい。様々な事情によって静岡での定期公演開催が無くなって久しいが、毎回でなくともまたそのような機会があれば良いなと願う。
 さて、そんな20年も東京から通い詰めたシンフォニエッタ静岡(以下SSJと記す)の、そのようにさせる魅力とは何だろうか。芸術監督/指揮者の中原氏と私とはそれこそ、彼が学生だった頃から様々な縁があって、SSJの立ち上げにも関心を持ったのは勿論なのだが、それだけでは20年も通うことになる理由にはならない。私見ではSSJの魅力・特色は以下の4つに集約されると思う。
1.中原氏の得意分野であるフランス音楽への関心と志向を大胆に表出していること。そして、知られざるフランスのオーケストラ曲や室内楽曲、作曲家を紹介しようという情熱。
2.有名無名にかかわりなく、ここでしか聴けない魅力的なソリスト。
3.「室内オーケストラ」としての独自のレパートリーの開発。
4.吹奏楽、管楽器への偏愛。

 SSJのウェブサイトからは、過去20年間に定期公演で演奏された曲目をすべて見ることができるので是非ご覧いただきたいのだが、例えばプーランクのモノオペラ「声」、フローラン・シュミットの「リートとスケルツォ」、ジョリヴェのオンド・マルトノ協奏曲を複数回演奏したなど、こんなプログラムを演奏し続けてきた演奏団体は東京にもひとつもないと断言できる。クラシック音楽の世界では少数派の、フランス音楽愛好家としては大変心強い。その大きな成果として、ポール・ラドミロー「交響曲」の世界初演(2012年)と東京初演(2022年)、フローラン・シュミット「サロメの悲劇」オリジナル室内オーケストラ版の日本初演(2015年)、近年話題を呼んでメイジャーな音楽誌にもとり上げられたエドガー・ヴァレーズ特集(2023年)とアンドレ・ジョリヴェ特集(2024年)、カントルーブ「オーヴェルニュの歌」の日本初の全曲演奏(2022~2024年)などに結実したと言えるだろう。
 フランスの音楽ではないが、ザルツブルグで研鑽を積んだ中原氏はモーツァルトも得意としており、これも何度も演奏されてきた「グラン・パルティータ」など見事であった。モーツァルトの演奏は難しく、クラシックファンなら誰もが名を知るような名指揮者でも、モーツァルトとなると驚くほどつまらない演奏をすることもある中、貴重である。そしてこの、フランス音楽とモーツァルトへの志向を統合した、中原氏とSSJの真の「十八番」は、プーランクのその名も「シンフォニエッタ」であろう。次回の定期にもプログラムされている由、よそとは一味違う「シンフォニエッタ」をご賞味の程を。

 2.の魅力的なソリスト、ということでは、初期の頃から何度も来演したザルツブルグの愉快なクラリネット吹きフェルディナント・シュタイナー、掛川市出身のヴァイオリン長尾春花、SSJのスーパーソリストとして多くの協奏曲や室内楽に登場し、つい先日もジョリヴェで健在ぶりを示したバソン小山清、専門のオンド・マルトノばかりか、ピアニストとしてモーツァルトやプーランクの協奏曲まで弾いてしまうのはここSSJだけであろう原田節などユニークな存在に事欠かないが、なんといってもSSJレギュラーソリスト、パリ音楽院教授のオリヴィエ・シャルリエ(ヴァイオリン)との出会いは宝だった。ヴィヴァルディ「四季」から現代曲(ヴァスクス)まであらゆる協奏曲を弾き、リムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」ではソロを担当し(2009年)、忘れがたい印象を残した。SSJの団員や奏者への刺激と影響も大きかったことと思う。これほどの人が東京ではあまり知られていなかったのは不思議だったが、結果的にSSJがこの人を中央の音楽界に紹介する役割を果たしたと言えるかもしれない。近年ご無沙汰しているが、また聴きたい人である。

 3.の独自のレパートリー、という点では、そもそも数人の室内楽からオーケストラまで変幻自在な編成で活動するSSJらしく、早くも2007年のマーラー「大地の歌」室内オーケストラ版に始まり、ブルックナーの交響曲第7番(2016年)とマーラーの交響曲第9番(2017年)の室内オケ版、シェーンベルク「室内交響曲第1番」(2018年)、前述のフローラン・シュミット「サロメの悲劇」オリジナル版など室内オケならではの曲目を紹介してきた。そしておそらくこれ以上に重要なのが、これも前述の「シェヘラザード」やストラヴィンスキー「火の鳥」(2020年)、チャイコフスキーやブラームスの交響曲など、通常は大編成のオーケストラで演奏されるロマン派以降の大曲が、室内オーケストラの人数で演奏可能なのを実証したことだと思っている。これからの世の中の、人口減少と経済の縮小が予想される中、示唆に富んだ事案だと思う。

 30数年前に私が中原氏と知り合った時、彼は吹奏楽のテューバ奏者であった。彼のこの出自もまた、SSJのレパートリーを特色づけているように感じる。オーエン・リード「メキシコの祭り」(2015年)や伊藤康英「抒情的『祭』」(2020年)といった吹奏楽曲のオーケストラ版の紹介、静岡と東京の両方で実現した金管楽器大特集(2019年・2021年)、管楽器のソリストの数の多さと多彩さ。第1回定期からジョリヴェのトランペット協奏曲がプログラムされたり、トルヴェール・クヮルテット(サクソフォン)との共演(2017年)、フランセ「トロンボーン協奏曲」の日本初演(2021年)など。モーツァルトやベートーヴェンのセレナードやハルモニームジーク(2012年ほか)、クルト・ヴァイルの「ヴァイオリンと管楽合奏のための協奏曲」(2011・2015年)なども、広い意味での「吹奏楽」と呼べないこともない。私もそうなのだが、「吹奏楽出身のクラシック好き」、という人種の感性を絶妙にくすぐる要素が多いのである。

 以上、SSJの20年の歩みとその魅力を、要素ごとに振り返ってみた。「今はこういうのがウケるらしい」「とりあえず〇〇すればチケットが売れるらしい」という陳腐な発想にありふれた現代のクラシック音楽界にあっては、自分のやりたいこと、価値あると信じるものをブレずに貫く姿勢は清新であり貴重である。そのぶん集客には苦労してきたようだが、それでも今は(ようやく)少しずつ増えてきているのではないかな。
 次の10年、20年も引き続き応援しつつ聴き続けたい。

中野 明



※学生=4歳以上25歳未満の学生。学生券は枚数限定販売。
※すべての料金は消費税込。
※チケット送料:調整中
やむを得ない事情により、曲目、出演者、会場が変更になる場合があります。
演奏会中止以外のチケットの払い戻しは致しませんのでご了承ください。


【お問い合わせ】 シンフォニエッタ 静岡
■電話 054-204-7778 / 090-9940-6995
■FAX  054-204-7773
■E-mail fukumimissj@gmail.com
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