スマホ向け表示

 お知らせ

「シンフォニエッタ 静岡」静岡県内の定期公演 撤退について

 9月4日(火)、静岡県庁にて上記の表題に関する記者会見を行いました。
 既にいくつかの報道によって今回の発表をご存じの方もいらっしゃると思いますが、発表内容をより正確にご理解いただくために、ご説明します。

  

1. 当楽団の「定期公演」は、2020年3月の第60回定期公演をもって、静岡から撤退します。2020年4月以降は、東京で開催していきます。
2. 今後、静岡においては教育活動に重点を置く計画です。詳細については検討をはじめたところです。
但し、この教育活動の中には、定期公演で取り上げる曲目を静岡の皆さんに聴いていただけるようになるための教育活動、啓蒙活動に立ち返る必要がある、ということも考えています。
3. 静岡県内の自治体や文化施設、学校、企業等からのご依頼は、これまでと変わらず承ります。
  

 今回、定期公演を静岡から撤退するに至った理由は、次の2点です。
① グランシップが再び長期間利用出来なくなること。安定的な利用が難しくなっていること。
・オリンピック文化プログラムの実施によりグランシップの予約が取れない。
・上記文化プログラム終了直後の2020年9月から耐震工事が行われる。
この工事の終了時期は2021年9月と発表されていますが、2014年の外壁崩落対策工事の際は、工期が数か月遅れたことから、今回もその可能性があることを考えておく必要があると考えています。最短でも2020年4月からの1年半、定期公演が出来なくなるということでも大きな影響があります。
・2017年10月から2018年9月の期間は、抽選に漏れ続けて、静岡での定期公演ができなかったこと。
以上のことから、計画的な定期公演の実施が難しくなっています。
・また、当楽団にとって、グランシップに代わる適切な施設が近隣にないという問題もあります。
  

② 静岡県内の自治体による文化政策上の課題。
静岡県文化振興基本条例 第3条「県の役割」の第2項には、次のように書かれています。
  

文化振興施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項について十分に配慮しなければならない。
1)文化の内容に介入し、又は干渉することがないようにすること。
2)広く県民の意見が反映されるようにすること。
3)広域的な視点に立ちながら、市町又は文化活動を行う団体、及び個人では実施が困難なものに取り組むこと。

  
 しかし、実態は、これらのいずれもが配慮されている状況にありません。特に、3)は、補完性の原則を示していますが、これも配慮されていません。施策によっては逆転現象が起きているものもあります。
 この条文は「県の役割」を示していますが、これらの問題は、県に限らず、市でも同様の現象があります。
  

 また、当楽団が有料ではじめた公演を、自治体やその外郭団体である文化財団が真似をして、無料(または極めて低い料金)で実施してしまうということが増えつつあります。これでは、本来、オーケストラが増やすことを求められている有料入場者を増やすことができなくなるという状況を作ってしまいます。
  

 以上のように、主に①の理由から、計画性と高い芸術性を求められる定期公演については静岡から撤退し、東京定期公演のみを行っていくことにしました。なお、依頼公演(当楽団が主催者の皆様よりご依頼を受けて公演を行うもの)については、これまでと変わらず、静岡での活動も継続していきます。②の課題については、記者会見後に知事と会談し、今後当楽団も活動しやすい環境と整えていくことや、静岡県全体の文化政策がより良いものとなるよう、文化政策研究者として中原朋哉が協力するといったこともお話をしました。
  
 これからも、静岡の芸術文化が更に発展していくために活動を継続することには変わりありませんので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

定期公演にお越しくださっているお客様、定期会員の皆様には大変申し訳ありませんが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
  

 なお、今後の活動について詳細が決まりましたら、こちらで随時お知らせいたします。
 報道機関を除き、本件に関する個別のお問い合わせにはお答えすることができませんので、どうぞご了承ください。
  
  
  

2018年9月4日
シンフォニエッタ 静岡
芸術監督・指揮者 中原朋哉
楽団長 植田明美